絵本レポート

あ、読んでみたいな。と思ってもらえる絵本紹介を目指してます

4歳からのオススメ絵本 『じごくのそうべえ』 落語絵本で大いに笑って地獄を楽しもう!

今回ご紹介いたしますのは『じごくのそうべえ』

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御覧の通り↑ 地獄を舞台にした絵本です。
地獄と聞いたら怖いイメージが先に立ちますが、この本は大笑い間違いなし
一度聞いたら忘れられません。
私の中で、必ず子供に読み聞かせたい絵本の中の一冊でした。

娘が地獄の存在を気にしだしたのは、生死に気付いた3歳を過ぎた頃から。
多分、youtubeあたりで情報を仕入れてきたんでしょう。
怖かったのかもしれないですね。

「おかーさん、地獄ってほんまにあんの?●●(娘の名前)は地獄にいくの?」

と質問してきました。

「おかーさんもあるか無いか分からんけど、あんたは人一倍優しいから心配せんでいいやろう」

とフォローしつつ、
さて、いよいよ『じごくのそうべえ』の出番が来たな、と内心ニヤリとしました。
が、残念ながら、読んでやるには娘はまだ少々幼かった。
3歳には、少し長いんです。この本。

そして、そのままずるずる読んでやる機会を逃し、時には忘れ去り、先日、図書館で『じごくのそうべえ』を発見。
「あ、読んだるの忘れてた!」
めでたく思いだしました。

そんな訳で、今日、やっと読み聞かせができました。

懐かしい『じごくのそうべえ』
こてこての関西弁に、はっちゃけたオッサン達。
古典落語の『地獄八景亡者戯(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)』を原作にした、この痛快な落語絵本を、是非ノリノリで読んでいただきたいです。

では、詳細におつきあいください。とざいとざーい

感想

読みにくいな~!!
これは練習が必要だ(笑)

関西弁に慣れている私ですが、それでもこの、上方漫才を上回るコテコテベタベタの関西弁には舌を巻きました。

おっかしいな~。子供の頃に何度も読んでもらったはずやのに。

ちょっと悔しい思いをしたのですが、仕方ないです。上方落語を絵本にしたんですもの。

これを昔、勤め先の同僚は、落語家さながらに机の上に正座し、お年寄り相手に朗読してたんです。
しかも、拍手喝采
その人は落語家ではありません。介護職の普通のオバちゃんでした。楽しい人には間違いありませんでしたが。
うーん、すごいな、●●さん。
思いだして尊敬しました。

しかも『じごくのそうべえ』は、冒頭にも書いたのですが、読み終わるまでが長いんですよ。10分以上かかります。
これまで紹介した絵本の中では最長です。
その上、ノリノリで読まなければ!という謎の使命感に駆られるため、息が上がります。
読み終わった時には、1席終えた落語家の気分です。

とはいえ、やっぱりね、楽しいんですよ。この『じごくのそうべえ』は。読みづらくても、しんどくてもね。
読み手まで楽しませる絵本て、なかなか無いと思うんです。

『じごくのそうべえ』の、本の特徴

サイズと重量(重さ)

縦25.1cm 横25.3cm 厚さ1㎝ 重量502g

鞄に入れて持ち歩くには、不可能ではないですが、やや大きいし重いです。

読み終わるまでの所要時間

10分以上

文字のサイズ、読みやすさ

最小4㎜。背景に合わせて黒文字白文字と変化があります。

構造・質感

ハードカバーの、標準的な絵本です。

対象年齢

4~5歳から。

『じごくのそうべえ』のオススメポイント

とにかく、怖いイメージの地獄をこれほど愉快に朗読できる本は他には無いと思います
内容は、正直ちょっとクレイジー(笑)。

娘は初めは絵を描きながら聞いていましたが、途中から本をチラチラ。そして最後まで、にやにや笑いながら見てくれました。
3歳の息子は残念ながら途中でどっかに行ってしまいましたが。

人間くさい閻魔大王社畜を思わせる鬼達。地獄の刑をものともしない図太いオッサン達。
地獄に落とされた、そうべえ達は、それぞれの特技をもって、次々と襲ってくる苦難(地獄の刑)に立ち向かいます。その様は、痛快ながらも逞しさを感じ、我が子もこんな風に強く育ってくれたらいいな(悪党になられたら困るけど)と思ってしまいます。

「ホラ、地獄はけして楽しいところではないけれど、こんなに愉快なお話にもなるんだよ」と、もし地獄を怖がっているお子さんがいたら、読んであげて欲しい。

もしくは、「ホラ、あんたもこの人らみたいに強くならんかい!」と鍛えるのも有りかもしれません。

私は子供の頃、友達と”地獄に落とされたらどの刑が一番良いか”というアホな議題で盛り上がった記憶があります。
「やっぱり糞尿地獄ちゃう?下カピカピで臭いだけやろ?我慢できるやん」
「アタシは窯茹で地獄かな。水入れたら風呂になるんやろ」
「その水どっからもってくんねん」
結局どの地獄刑で落ち着いたかは覚えていません。
救いなのは、「自分は悪い事はしてないから地獄行きにはならんもーん」と主張する困った奴は一人も居なかったことです。


最後に。
実は、お子さんだけでなく、『じごくのそうべえ』は大人にもオススメ。
今はコロナで宴会なんかは自粛中ですが、『じごくのそうべえ』、会社の飲み会芸でも使えますよ。1席いかがでしょう。

『じごくのそうべえ』の情報(作者・発行所など)

タイトル:じごくのそうべえ
作:たじまゆきひこ
桂米朝上方落語・地獄八景より
発行所:株式会社 童心社