絵本レポート

あ、読んでみたいな。と思ってもらえる絵本紹介を目指してます

5歳からのオススメ絵本 『パンのかけらとちいさなあくま』 リトアニアの悪魔の可愛さ限りない

『パンのかけらとちいさなあくま』はリトアニア民話です。

民話は、その国の文化などお国柄が知れるのが面白い。
以前記事にした『3びきのくま』では、ボリッジというイギリスの伝統的なお粥を知る事ができました。
kusazukikaasan.hatenablog.com

kusazukikaasan.hatenadiary.com

さて、『パンのかけらとちいさなあくま』からはリトアニアのどんな一面をみる事が出来るのでしょう。
以下、お付き合いいただけたら幸いです。↓

『パンのかけらとちいさなあくま』の感想

あれー?
悪魔のイメージが違うなあ。

『パンのかけらとちいさなあくま』は幼い頃に読んだ覚えがあるのですが、大人になってから再読して悪魔の描かれ方が随分と可愛らしい事に気付きました。
私の感覚ですが、『パンのかけらとちいさなあくま』の悪魔はまるで妖精や妖怪のようで、邪悪さを感じません。むしろ人間に対して好意的で、親しみやすさすら覚えてしまいます。
小さな悪魔がやった悪戯だって、貧乏なきこりの弁当をかっさらう程度のもの。それくらいなら、近所のカラスや奈良の鹿でも日常的に悪気なくやってます。
それを先輩の悪魔たちに咎められ、お詫びに一働きも二働きもする悪魔は、もはや私の知っている悪魔とは全然違う。
これは絶対、リトアニアというお国柄が絡んでいるに違いない。一度調べてみらねば、と思い立たったのでした。こういうの、子供にもいい刺激になりますね。
ちなみにですが、娘は「地主さん何で死んだがわからん」と首をひねっていました。
ショック死という展開は、確かに現代の絵本にはなかなか無い発想かもしれません。これも、民話ならではですね。
リトアニアについて調べた内容は、次の項目で紹介させていただきます。

それにしても、悪魔と人間はやはり次元が違う存在なんだと感じました。
悪魔たちがねぐらでゲームや読書など娯楽に勤しんでいる中、人間は生きるのに必死。
きこりは毎日の糧の確保に。意地悪ものの地主だって、食べ物に宝石など自分の富を増やす事に必死です。
人間性の善し悪しを置いて見たら、きこりも地主も望んでいるものは大して変わらない。求めるのは生きる糧と富です。
『パンのかけらとちいさなあくま』は民話なので書かれたのは随分昔なのでしょうが、人間は今も昔も大して変わらないようです。
裕福な人が増えて便利な世の中にはなりましたが、今でもみんな、必死のぱっちで生きてますもんね。
これはもう、人間の性(さが)なのかな。

リトアニアってどんな国

昔なら図書館に行ってリトアニアの資料を漁るところですが、今ではグーグルさんがいつでもスマホで膨大な資料を提示してくれる。本当、便利になったもんだ。

リトアニアバルト三国の一つ。
バルト三国中学校の授業でやりましたよ。テストに出ましたよ。そして一つだけどうしても思い出せなかった記憶があります。
リトアニアラトビアエストニア
ちなみに私がテストで思い出せなかったのはラトビアです。

場所は現在、世界の心配事の代表であるロシアとウクライナの近く。
北海道の8割くらいの面積の小国で、リトアニア人、ポーランド人、ロシア人、ベラルーシ人、ユダヤ人が暮らしているのだとか。
宗教はカトリックが多いらしいですが、元は多神教国家だったので、宗教に関しては寛容なようですね。
公用語リトアニア語。
ありがとう、は「Aciu (アチュー) 」。

リトアニアの観光スポットはこんな感じです↓
www.travel.co.jp
テラコッタの建物が非常に美しいですね。
私はトラカイ島城が非常に好みです。

食べ物はジャガイモが主食らしいですが、検索して出て来る料理全てが美味しそうなんです。
この記事なんか、見てるだけでよだれがじゅるり。
www.sushimeetscepelinai.com
リトアニアのパンにはユゥォダ ドゥォナという黒パンが定番であるのだとか。
『パンのかけらとちいさなあくま』で小悪魔が盗んだパンはユゥォダ ドゥォナなのかもしれないですね。
上記のリトアニア料理の記事を書かれた方のブログには、他にもリトアニアの記事が沢山掲載されていました。
こういう個人様の記事は教科書みたいなお堅い本より楽しく読めるので、スッと頭に入ってきます(笑)

さて、『パンのかけらとちいさなあくま』の悪魔の描かれ方が随分可愛らしかった理由についてですが、案外すんなり見つかりました。
www.boliviacontact.com

リトアニア人にとって、悪魔は人間と悪戯が好きな妖精のような存在らしいです。やはり、日本でいう妖怪と少し似ています。
悪魔博物館、などという面白そうな観光スポットもあります。
この悪魔博物館ですが、最初は全て個人の収集物を展示していたそうです。
その方が悪魔にまつわる様々なものを集めるようになったきっかけは、友人の司祭からもらった一体の悪魔像だとか。
ちなみに、悪魔博物館には日本の天狗や鬼の面も展示されているらしいですよ。
リトアニアに行ったら天狗は悪魔扱いなんですね。

民話のススメ

なんとなーく読んでしまえばそれでお終いですが、外国民話はこんな風に子供や親の世界を広げられるというオマケがついてくるから面白い。
でも、子供一人で読んだら
「そうなんだー」
で終わっちゃいます。
うちの娘に『パンのかけらとちいさなあくま』を読んだ後、
「●●(娘の名前)のイメージする悪魔って、どんなん?」
と聞いたら
「イタズラするけど仲間に怒られたらゴメンしにきてくれる」
と、すっかり『パンのかけらとちいさなあくま』に悪魔のイメージを刷り込まれておりました。
だから大人が一緒に読んで日本文化との違いに気付き、調べるきっかけを作る必要があります。
親御さんにはちょっと面倒かもしれませんが、余裕のある時に外国民話を読んで、その国の料理とか民族衣装とか観光地とか、興味のあるところだけでも調べてみると、また絵本の違った楽しみ方ができるかもしれません。

『パンのかけらとちいさなあくま』の、本の特徴

サイズと重量(重さ)

縦26.6cm 横18cm 厚さ7㎜ 310重量g
軽くは無いですが、これ一冊くらいであれば持って歩くには負担にはならないと思います。

読み終わるまでの所要時間

5分程度

文字のサイズ、読みやすさ

4㎜程度です。
黒文字。

構造・質感

ハードカバーの、標準的な絵本です。

対象年齢

5歳から、とネットにはありました。

『パンのかけらとちいさなあくま』の情報(作者・発行所など)

タイトル:パンのかけらとちいさなあくま 
再話:内田莉莎子(うちだりさこ)
画:堀内誠一(ほりうちせいいち)
発行所:福音館書店


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