絵本レポート

あ、読んでみたいな。と思ってもらえる絵本紹介を目指してます

4歳からのオススメ絵本 『ラプンツェル グリム版』 原作を知ろう

こんにちは。このたびご紹介したいのは
ラプンツェル――の、原作の方。グリム童話バージョンです
絵はバーナディット・ワッツさん。
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ディズニーが『ラプンツェル』をテーマに映画を出してからは、ラプンツェル』といえばディズニー作を連想するお子さんは多いと思います。
ネットで検索しても最初に出てくるのはディズニー作。
それでも良いと思うんですよ。だけどね、やっぱり原作を知っておいた方がいいなと思ったんですよ。

先日、うちの夫が我が家にあった雪の女王の絵本を見つけて「完全に二番煎じやな」と笑いました。
アンデルセンやぞ。二番煎じなわけなかろうが。
昔からある童話だと説明したら、「え、そうなの」と目を丸くしてました。
夫は知識に偏りがあると言う事を思い出したエピソードでした。

そんな訳で、娘と息子にもちゃんと原作というものを教えておいた方がいいかなと思いまして。
まずは手始めに図書館で見つけた『ラプンツェル』を読み聞かせました。
ディズニーの『ラプンツェル』は原作からかなり離れてますからね。そういう意味でも読んでやったら面白いかな、と思ったんです。
という訳で、以下感想や詳細にお付き合いいただけたらと思います。

目次

感想

グリム童話は結構過激で有名ですが、これはさほどではありませんでした。多分、後から改変を加えたものなんでしょう。
ちなみに私が子供のころに読んだのもこの改訂版。初版は確か、ラプンツェルが王子の子を妊娠していたと思います。
時間が無かったので適当にひっつかんで借りてきたので少し心配していましたが、子供向けでよかった、とホッと一息。
ディズニーが映画を製作するにあたり大幅に内容を変えたのも分ります。私も、娘に「逢瀬ってなにー?」と聞かれたらどう答えようと考えながら、今回はまず一人で試し読みましましたから。

さて、この改訂版の『ラプンツェル』ですが、改めて読むとまあ酷い話でした(笑)

葉野菜と引き換えに子供を渡す親。独善的な魔女。魔女のマネをして乙女の家に上がり込んだ上に速攻で求婚する王子。あっさりと育ての親(魔女)から王子に乗り換える主人公のラプンツェル

ツッコミどころが満載で困っちゃう。
昔ってこれが普通だったの?

とはいえ、よく考えてみればなかなかロマンのあるお話だなとも思いました。

魔女の育てる魅惑のや葉野菜はどんな味がするんだろうと興味をかき立てられるし、森の中にひっそりと佇む入口のない棟はまさしくメルヘンの建造物。そして、そこに魔女に育てられた髪の長------い美少女が住んでいるなんて夢がある。極めつけが王子様。

娘にディズニー映画版とこの絵本、どっちが気に入ったか訊ねると、「どちらも面白い」との回答が返ってきました。
ディズニー映画は普通に面白いし、絵本は王子様が出てくるのが良い、と。

そうだね、物語は物語として素直に楽しむべきだ。
現代の常識と照らし合わせて批評するなんて無粋な真似はやめよう。
また娘に教えられました。

ちなみに、私が図書館から借りてきたこの『ラプンツェル』ですが、改行や句読点の付け方が少し読み辛く感じました。私に合わなかっただけかもしれませんが、他にもグリム版ラプンツェルは出ていると思うので、この絵本だけでなく他にも色々お探しになってもいいかもしれません。

ラプンツェル』の本の特徴

サイズと重量(重さ)

縦32.2cm 横23.6cm 厚さ8㎜ 重量420g
大きくやや重いです。ママかばんに入らなくもないとは思いますが、持ち歩くには少し大きいかと思います。

読み終わるまでの所要時間

8分程度

文字のサイズ、読みやすさ

4㎜程度です。
句読点が少し多い気がします。

構造・質感

ハードカバーの、標準的な絵本です。

対象年齢

4歳から、とネットにはありました。

ディズニー版『ラプンツェル』とグリム版『ラプンツェル』の違い。

さて、いつもはここでオススメポイントを書いておりますが、今回はディズニー版とグリム改訂版との相違ポイントを表にさせていただきました。

ディズニー版 グリム版
ラプンツェルの出生 お姫様 平民
葉野菜(ちしゃ) 登場しない。代わりに魔法の花が出てくる ラプンツェルの名前の由来
王子 盗賊のユージーンに代わる 当たり前に出てくる
ラプンツェル 魔法の花の力を得るため魔女に誘拐される 葉野菜と交感される
魔女 誘拐犯 ラプンツェルを養女にし、一応本人なりに大事に育てる
カメレオン パスカルラプンツェルの親友 影も形もない
ラスト 魔女は灰になりラプンツェルはユージンとお城に帰る ラプンツェルは髪を切られ棟から追い出され、王子は棟から身投げして両眼を負傷した状態でさまよい歩くが、数年後再会し王子の目も治り城へ戻って幸せに暮らす。魔女は生存
ランタンのシーン 不可欠 全く存在しない
可愛いゴロツキ集団 不可欠 存在しない
マックスとして活躍 挿絵に出てくるだけ。名前すらない


また、ディズニー版のラプンツェルは行動的でピカイチの運動神経を持ちます。反対にグリム版は受け身であり、歌は上手らしいですが活動的な様子はみられません。世間知らずである事と髪の毛で人一人引っ張り上げる剛腕はどちらも共通しています。

こうして見ると、ディズニー版は現代の女の子に合わせたヒロインとして作られた事がよく分ります。
恋を夢見てふわふわと歌いながら王子様の到来を待っている白雪姫やオーロラ姫とはタイプがかなり違います。
どちらのタイプも魅力がありますが、白雪姫やオーロラ姫も、新しく作られたらもしかするともう少し雰囲気の違った女の子になるのでしょうか。
そう考えると面白いですね。
童話のいくつかはディズニー映画が当たり前になっている時代、こんな風に原作を読んで照らし合わせてみるのもいいかもしれません。
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今回ご紹介した グリム版『ラプンツェル』の情報

タイトル:ラプンツェル
文:グリム兄弟
絵:バーナディット・ワッツ
訳:相良守
発行所:岩波書店